PPPとPFIの違いとは?仕組みや事業方式・企業の関わり方を解説

自治体連携

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2026/08/31

PPPとPFIは、行政と民間企業が連携して公共施設や公共サービスに関わる場面で使われる言葉です。似た文脈で登場しますが、意味は同じではありません。

官民連携の幅広い取り組みを指すのがPPPで、その中に位置付けられる具体的な手法の一つがPFIです。両者の関係を押さえておくと、自治体などが公表する事業情報の内容を読み取りやすくなるでしょう。

本記事では、PPPとPFIの違いをはじめ、PFIの事業方式やほかのPPP手法との関係、企業が案件を見る際のポイントを解説します。

PPPとPFIの違い

PPPとPFIは、並列する二つの制度ではありません。官民連携全体を示すPPPの中に、具体的な手法としてPFIが含まれます。

ここでは、それぞれの意味と両者の違いを解説します。

PPPは官民連携の総称

行政と民間が連携して、公共施設の整備や維持管理、運営などを行う取り組みを幅広く捉えた概念がPPP(Public Private Partnership)です。

主なポイントは次のとおりです。

  • 官民が連携する幅広い取り組みを含む

  • 施設整備だけでなく、維持管理や運営も対象になる

  • PFIや指定管理者制度、包括的民間委託など複数の手法がある

国土交通省も、PFIや指定管理者制度などをPPPの方式として挙げています。つまり、PPP自体が一つの契約方式を示すわけではありません。

自治体の資料に「PPP事業」と記載されている場合は、どの手法を使うのか、民間企業がどこまで業務を担うのかまで確認してください。

参考:国土交通省「官民連携とは」

PFIはPPPの一手法

PPPに含まれる手法のうち、民間の資金や経営能力、技術的能力を取り入れて公共施設等を整備・運営するのがPFI(Private Finance Initiative)です。

特徴を簡単にまとめると、次のようになります。

  • 民間資金を事業に取り入れる

  • 民間の経営能力や技術的能力を生かす

  • 建設に加えて、維持管理や運営まで含む場合がある

  • 日本ではPFI法に基づいて実施される

施設を建てて終わるのではなく、その後の維持管理や運営まで長期的に担う案件がある点も特徴です。一方で、業務範囲や契約期間、資金調達の方法は案件ごとに異なります。

参画を検討する企業は、「PFI案件」という名称だけで判断せず、実施方針や募集資料から自社の担当範囲を確認しましょう。

参考:内閣府「PPP/PFIとは」

PPPとPFIを比較

両者の関係を簡単に示すと、PPPが官民連携全体を指し、PFIはその中で用いられる一つの手法です。

主な違いは次のとおりです。

比較項目

PPP

PFI

位置付け

官民連携の幅広い概念

PPPに含まれる一手法

法的な枠組み

採用する制度・方式によって異なる

PFI法に基づく

民間資金

手法によって異なる

民間資金を取り入れる

民間企業の関与

方式や案件によって異なる

整備・維持管理・運営などを担う

主な例

PFI、指定管理者制度、包括的民間委託など

BTO、BOT、BOO、ROなど

自治体がPPPの導入を検討していても、必ずPFIが採用されるわけではありません。事業の内容によって、指定管理者制度や包括的民間委託など別の方式が選ばれる場合もあります。

企業側では、「PPPかPFIか」という名称だけを見るのではなく、最終的にどの事業方式で実施されるのかまで追って判断してください。

PFIと従来の公共事業の違い

従来の公共事業と比べると、PFIは発注方法や資金調達、民間事業者が担う範囲などに違いがあります。内閣府は、一括発注や性能発注をPFIの特徴として挙げています。

ここでは、企業が押さえておきたい主な違いを3つ紹介します。

設計から運営まで一括して担う場合がある

設計、建設、維持管理、運営などを個別に発注する従来方式に対し、PFIでは複数の業務をまとめて民間事業者へ委ねる形が採られます。

施設を完成させるだけでなく、その後の維持管理や運営まで見据えて事業を組み立てる点が特徴です。参画を考える企業は、自社が設計・施工・維持管理・運営のどこを担うのかを確認しましょう。

民間資金とノウハウを取り入れる

公共側が施設整備費を負担する従来方式とは異なり、PFIでは民間による資金調達を事業に取り入れます。あわせて、民間企業の経営能力や技術的能力を生かすことも前提です。

ただし、資金調達の方法や公共側からの支払い方法は案件によって異なります。事業スキームや支払条件まで確認してください。

性能発注とリスク分担を重視する

求める設備や方法を細かく指定するのではなく、必要な性能やサービス水準を示す「性能発注」が用いられる点もPFIの特徴です。民間側は、その水準を満たす方法を提案します。

また、建設や維持管理、需要変動などのリスクを誰が負担するかも事業ごとに定められます。要求水準書や事業契約書案を読み、責任範囲を把握しておきましょう。

参考:内閣府「PFIの仕組み 従来の公共事業と何が違いますか?」

PFIの主な事業方式

PFIにはBTO、BOT、BOO、ROなどの方式があります。主な違いは、施設の所有者や所有権を移すタイミング、既存施設を対象とするかどうかです。

ここでは、代表的な4つの方式を紹介します。

BTO方式

BTO(Build Transfer Operate)は、民間事業者が施設を建設し、完成後に公共側へ所有権を移したうえで維持管理や運営を行う方式です。

供用開始後は公共側が施設を所有するため、次に紹介するBOTとは所有権を移す時期が異なります。

BOT方式

BOT(Build Operate Transfer)は、民間事業者が施設を建設し、一定期間は自ら所有しながら維持管理や運営を行う方式です。事業終了後などに公共側へ所有権を移します。

BTOとの違いを確認するときは、供用期間中に誰が施設を所有するのかを見ると分かりやすいでしょう。

BOO方式・RO方式

BOO(Build Own Operate)は、民間事業者が施設を建設し、所有したまま運営する方式です。一方、RO(Rehabilitate Operate)は、新設ではなく既存施設を改修して維持管理や運営を担います。

方式名だけでなく、所有権、事業期間、担当業務まで募集資料で確認してください。

参考:内閣府「PFIの事業方式と事業類型」

PFIとほかのPPP手法の違い

PPPには、PFI以外にもDBO方式や指定管理者制度などがあります。コンセッションはPFI法に基づく仕組みであり、PFIとの関係を分けて考える必要があります。

ここでは、PFIと混同しやすい手法との違いを解説します。

DBO方式との違い

設計・建設・運営をまとめて民間事業者が担うDBO方式は、業務範囲だけを見るとPFIと似ています。

大きな違いは資金調達です。DBOでは公共側が施設整備に必要な資金を調達するのに対し、PFIでは民間資金を事業に取り入れます。

案件を比較するときは、担当業務だけでなく、施設整備費を誰が調達するのかも確認してください。

指定管理者制度との違い

地方公共団体が設置する「公の施設」の管理を、指定した法人その他の団体に行わせる仕組みが指定管理者制度です。地方自治法第244条の2に基づいて運用されています。

施設の整備から維持管理・運営までを対象にするPFIとは、法的な位置付けや対象範囲が異なります。

ただし、PFIで整備した施設の管理に指定管理者制度を組み合わせるケースもあるため、両者を完全に別の方式として捉えないようにしましょう。

コンセッションとの関係

コンセッションは、PFI法に基づく公共施設等運営権制度です。公共側が施設の所有権を持ったまま、民間事業者に運営権を設定します。

利用料金を徴収する公共施設などが対象となり、民間側が運営を担う点が特徴です。PFIとは別の制度ではなく、PFIの一形態として位置付けられていることを押さえておきましょう。

参考:内閣府「公共施設等運営事業(コンセッション事業)」

PPP・PFI案件で確認するポイント

同じPPP・PFIでも、事業方式や参加条件、契約期間などは案件ごとに異なります。参画を検討する際は、事業名だけで判断しないことがポイントです。

ここでは、企業が確認しておきたい主な項目を紹介します。

自治体の計画や方針

公募前の段階では、公共施設等総合管理計画や個別施設計画、PPP/PFI優先的検討規程などが情報源になります。

施設の建て替えや統廃合、民間活力の導入方針が示されていれば、今後PPP/PFIとして事業化される可能性を探る材料になるでしょう。

予算資料や議会資料もあわせて確認すると、検討状況を追いやすくなります。

実施方針や要求水準書

具体的な案件では、実施方針や募集要項、要求水準書、審査基準、事業契約書案などを確認します。

内閣府もPFI事業の実施プロセスや契約に関するガイドラインを公表しています。2026年6月には関連ガイドラインや標準契約が改正されました。

特に見ておきたいのは、業務範囲と参加資格です。自社が担える業務が含まれているか、実績や資格などの条件を満たすかを確認してください。

事業期間・収益構造・リスク分担

長期の事業では、契約金額だけでなく、事業期間全体の収支を見る必要があります。

公共側からの支払い方法、利用料金収入の有無、修繕費の負担、物価変動などの条件を確認しましょう。どのリスクを公共側と民間側が負担するのかによって、事業採算性も変わります。

コンソーシアムなどの参画方法

設計、建設、維持管理、運営など複数の業務を含むPFIでは、複数企業が共同で応募するケースがあります。

自社単独で事業全体を担えなくても、構成企業や協力企業として関わる余地があるでしょう。募集要項を読み、代表企業や構成企業に求められる資格、実績、出資条件などを確認してください。

PPP・PFI案件の情報収集

PPP・PFIでは、公募前から自治体が民間企業との対話や市場調査を行うケースがあります。案件を探す際は、公募情報だけでなく、検討段階の動きにも目を向けましょう。

ここでは、案件形成の段階で確認できる情報を紹介します。

サウンディングや官民対話

自治体が事業化を検討する際、民間企業から市場性や事業条件について意見を聞く「サウンディング」が行われることがあります。

企業側にとっても、自治体がどの施設や公共サービスで官民連携を考えているのかを知る機会です。ただし、サウンディングは事業者を選定する公募や入札とは異なります。参加条件や今後のスケジュールは実施要領で確認してください。

内閣府では、地方公共団体のPPP/PFI担当窓口やサウンディング情報の公表先などをまとめています。

民間提案制度

行政が示した案件へ応募するだけでなく、民間企業側から事業を提案する方法もあります。PFI法には、民間事業者が公共施設等の管理者等へ実施方針の策定を提案できる仕組みが設けられています。

提案を考える際は、自社のサービスを紹介するだけではなく、自治体の計画や行政課題との関係を押さえましょう。

提案後の審査や事業化までの流れは自治体によって異なるため、受付条件も確認してください。

まとめ

PPPは官民連携の幅広い取り組みを指し、PFIは民間資金やノウハウを取り入れる具体的な手法の一つです。

PFIにもBTOやBOTなど複数の方式があり、業務範囲や事業期間、リスク分担は案件によって変わります。参画を考える際は、PPP・PFIという名称だけでなく、実施方針や要求水準書、募集要項まで確認してください。

また、公募前の計画やサウンディングなどにも目を向け、自社が担える業務や参画方法を判断しましょう。

髙橋京太郎

LobbyAI株式会社 代表取締役CEO

日本大学法学部卒業、法政大学大学院修了。衆議院議員秘書、さいたま市議会政務活動員として、国政・地方行政の現場で政策形成や渉外業務に従事。大学在学中から国政政党の学生組織の設立・運営に携わり、超党派団体での活動を通じて若年層の政治意識向上にも取り組む。一方で、WEBサービスの開発・運営にも携わり、マッチングアプリのコンテンツディレクターなどを務めるなど、テクノロジー分野での実務経験も積む。アジアを代表する30歳未満の先進的な起業家・リーダーを選出する「Forbes 30 Under 30 Asia 2026」に選出。東京都・TIBのスターティングメンバーにも参画。

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