自治体連携

総合評価落札方式とは、入札価格だけでなく、企業の実績や技術力、技術提案なども評価して落札者を決める方式です。
最も低い価格を提示した事業者が必ず落札するわけではなく、評価項目や配点は案件ごとに異なります。
この記事では、最低価格落札方式との違い、主な評価項目、評価値の考え方、総合評価案件へ参加する前に見ておきたい資料まで解説します。
総合評価落札方式では、価格と技術面などを合わせて評価し、発注者にとってより有利な申込みを選びます。
ここでは、方式の基本的な仕組みや法令上の根拠、採用される案件について紹介します。
総合評価落札方式は、入札価格に加えて、技術提案や企業・技術者の実績などを評価して落札者を決める方式です。国土交通省も、価格と技術提案その他の価格以外の要素を総合的に評価する仕組みとして示しています。
評価対象は案件によって異なり、企業の施工実績、配置予定技術者の能力、施工計画などが含まれる場合があります。価格だけでは比較しにくい技術力や履行能力も落札者の決定に反映できる点が、この方式の特徴です。
企業が総合評価案件へ参加する際は、入札金額だけでなく、公告や入札説明書に示された評価項目まで確認する必要があります。
国と地方公共団体では、総合評価によって落札者を決める際の法的な根拠が異なります。国の契約では、会計法第29条の6第2項に、価格その他の条件が国にとって最も有利な申込みをした者を契約相手とする規定が設けられています。
地方公共団体では、地方自治法施行令第167条の10の2が関係します。価格その他の条件が地方公共団体にとって最も有利な申込みをした者を落札者とする仕組みです。
具体的な評価項目や配点、算定方法は全国一律ではありません。実際に参加する際は、発注機関が公表する入札説明書や落札者決定基準を基準に判断してください。
総合評価落札方式は、公共工事や建設コンサルタント業務など、価格以外の要素も踏まえて契約相手を選ぶ必要がある案件で採用されています。
国土交通省では、直轄工事や建設コンサルタント業務等について、総合評価落札方式のガイドラインや運用資料を公開しています。(※)
ただし、同じ公共工事や業務委託でも、すべての案件が総合評価落札方式になるわけではありません。案件の内容や発注機関の運用によって、最低価格落札方式など別の方式が採用されます。
企業は案件名や業務内容だけで判断せず、公告や入札説明書に記載された落札者決定方式を確認してください。
※参考:国土交通省「入札・契約」「公共建築工事総合評価落札方式適用マニュアル・事例集」
総合評価落札方式と最低価格落札方式では、落札者を決める際に重視する要素が異なります。
ここでは、価格以外の評価がどのように関わるのか、企業側の確認ポイントとあわせて解説します。
総合評価落札方式では、入札価格に加えて、技術力や実績なども落札者の決定に反映されます。国土交通省の直轄工事では、価格と技術提案などを総合的に評価し、予定価格の範囲内で評価値が最も高い事業者を落札者とする仕組みが示されています。
最低価格落札方式との主な違いをまとめると、次のとおりです。
項目 | 最低価格落札方式 | 総合評価落札方式 |
主な評価対象 | 価格 | 価格と技術など |
価格以外の評価 | 落札者決定の中心としない | 実績や技術提案などを評価 |
企業側が見る項目 | 入札価格や価格に関する条件 | 評価項目、配点、価格評価など |
落札者の決定 | 価格を中心に決定 | 総合的な評価で決定 |
総合評価案件では、価格を下げるだけでは十分とは限りません。自社が技術面でどの程度評価されるかも含めて、参加判断や入札価格を考える必要があります。
総合評価案件では、価格を検討する前に評価項目と配点を把握しておく必要があります。企業実績や配置予定技術者、施工計画、技術提案など、どの項目を評価するかは案件によって異なります。
配点を見ると、発注者が特に重視している要素も把握できます。たとえば企業・技術者の施工実績を重く見る案件と、技術提案に高い配点を置く案件では、参加企業に求められる強みが変わるでしょう。
企業は入札説明書や落札者決定基準を読み、自社が加点を得られる項目と、提出が必要な技術資料を早い段階で確認してください。
総合評価落札方式では、企業や技術者の実績、施工計画、技術提案などが評価対象になる場合があります。
ここでは、国土交通省の公共工事を例に、代表的な評価項目を紹介します。
過去の施工実績や工事成績は、企業の施工能力を判断する評価項目として使われます。国土交通省の総合評価落札方式では、企業の同種工事の施工実績や工事成績などを評価する例が示されています。
評価対象となる工事の種類や期間、実績として認められる条件は案件ごとに異なります。過去に公共工事を受注していても、今回の案件で求められる「同種工事」に該当するとは限りません。
参加を検討する企業は、自社の実績件数だけを見るのではなく、落札者決定基準に示された対象工事や評価条件と照らし合わせる必要があります。
配置予定技術者の施工経験や工事成績も、評価に影響する項目の一つです。国土交通省の公共工事では、企業だけでなく、配置予定技術者の同種工事の施工実績や成績を審査する仕組みが採用されています。
案件によっては、保有資格や担当した工事の内容なども評価対象となります。会社として十分な実績を持っていても、条件に合う技術者を配置できなければ、想定した評価を得られないケースも考えられます。
案件選定では、企業実績と配置予定技術者の条件を分けて確認し、必要な人員を確保できるかまで見ておきましょう。
工事の特性に応じて、施工計画や技術提案を審査・評価する案件も設定されています。国土交通省の資料では、安全対策や環境への影響、工期短縮、構造物の品質向上などに関する提案が評価項目の例として示されています。
ただし、総合評価落札方式だからといって、すべての案件で高度な技術提案を求められるわけではありません。企業や技術者の施工能力を中心に審査する方式もあり、工事の技術的な難易度などによって求められる資料は変わります。
企業は方式名だけで提出物を判断せず、入札説明書に示された技術資料の内容と評価方法を確認してください。
総合評価落札方式では、技術面と価格面の評価を組み合わせて落札者を決めます。
ここでは、評価値の基本的な考え方と、代表的な除算方式・加算方式について解説します。
総合評価では、価格だけでなく技術面の評価も数値化し、落札者の決定に反映します。国土交通省の資料では、予定価格の範囲内で、算出した評価値が最も高い事業者を落札者とする仕組みが示されています。
ただし、技術点と価格点の配分や算定方法は、すべての案件で共通ではありません。
企業が参加する際は、入札説明書や落札者決定基準に記載された評価方法を確認し、自社の技術評価と入札価格がどのように結果へ影響するかを見る必要があります。
除算方式は、技術評価点を入札価格で割って評価値を算出する方法です。国土交通省の資料では、基本的な考え方としは次の式のとおりです。
評価値=技術評価点÷入札価格
技術評価点が高いほど評価値は上がり、同じ技術評価点であれば入札価格が低い方が数値は高くなります。国土交通省の総合評価落札方式では、除算方式を採用する運用が示されています。
実際には標準点や加算点などを用いるため、企業は案件資料に記載された算定式を基準に評価値を見積もってください。
加算方式は、価格評価点と技術評価点を加えて総合的な点数を算出する方法です。国土交通省の「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」でも、価格と価格以外の要素をそれぞれ点数化して足し合わせる考え方が示されています。
除算方式と比べると、価格と技術の比重を配点として設定しやすい点が特徴です。ただし、評価点の配分や計算式は案件によって異なります。
方式名だけで有利・不利を判断せず、価格評価と技術評価の配点を確認し、自社がどこで点数を取れるかを見ることが実務上のポイントです。
総合評価落札方式とプロポーザル方式は、どちらも価格以外の要素を評価しますが、事業者を選ぶ仕組みは同じではありません。
ここでは、それぞれの特徴と企業側の対応の違いを紹介します。
総合評価落札方式では、入札価格と技術面などを評価し、総合評価によって落札者を決定します。価格が評価要素として組み込まれているため、技術評価が高ければ価格を考えなくてよいわけではありません。
企業側は、技術資料で得られる評価だけでなく、価格評価とのバランスも見ながら入札額を決めます。
評価項目や配点、算定式を事前に把握することが、参加判断や価格設定の前提となります。
プロポーザル方式では、業務の実施方針や技術提案などを評価し、契約候補者を選定します。国土交通省も、建設コンサルタント業務等について、プロポーザル方式と総合評価落札方式を別の発注方式として位置付けています。(※)
価格以外の要素を見る点は共通しますが、総合評価落札方式は入札価格を含めて落札者を決める方式です。プロポーザル方式では、提案内容や業務遂行能力を中心に契約候補者を特定し、その後の手続きへ進みます。
企業は「提案書を出す案件だから同じ」と判断せず、公告や実施要領で採用されている方式を確認してください。
※参考:国土交通省「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン」
総合評価落札方式では、公告後に技術資料の提出や審査を経て、価格と技術面を合わせて落札者を決めます。
ここでは、案件への参加から落札者決定までの一般的な流れを紹介します。
参加を検討する際は、公告と入札説明書から総合評価の条件を把握します。
入札説明書には、総合評価落札方式を採用する旨や競争参加資格、評価項目、評価基準、得点配分、落札者の決定方法などが示されます。国土交通省のガイドラインでも、これらを手続開始時に明らかにする考え方が示されています。
特に確認したいのは、技術資料として何を提出するのか、どの項目に何点が配分されるのかという部分です。同じ総合評価落札方式でも案件ごとに条件は異なるため、過去案件の経験だけで判断せず、今回の資料を基準にしてください。
企業は、案件で指定された技術資料を期限までに提出します。企業や技術者の実績、施工計画、技術提案など、求められる内容は案件によって異なります。
発注者は、あらかじめ示した評価方法に沿って提出資料を審査し、技術面の評価を決定します。国土交通省の資料でも、技術提案を求める内容と評価方法を事前に公表し、提出された提案をその基準で審査する流れが示されています。
企業側では、提出書類をそろえるだけでなく、加点対象となる実績や提案内容を評価基準に沿って記載することがポイントです。
技術面の評価と入札価格を組み合わせ、最終的な評価値などを算出して落札者を決めます。国土交通省直轄工事では、予定価格の範囲内で評価値が最も高い事業者を落札者とする仕組みが示されています。
一般的な流れをまとめると、次のとおりです。
公告・入札説明書の確認
競争参加資格の確認
技術資料の提出
技術面の審査・評価
入札
価格と技術面の総合評価
落札者の決定
具体的な手続きや技術資料の提出時期は案件ごとに異なります。参加する際は、公告から落札者決定までのスケジュールも確認してください。
総合評価案件では、参加資格を満たすだけでなく、自社がどの項目で評価を得られるかを見る必要があります。
ここでは、参加判断や提案準備に使いたい主な資料を紹介します。
最初に見たいのは、落札者決定基準や入札説明書に示された評価項目と配点です。発注者が何を評価し、それぞれ何点を付けるのかが分かれば、自社の強みを生かせる案件か判断する材料になります。
確認したいのは、企業実績や技術者の経験、技術提案などの評価項目だけではありません。最低限満たすべき条件と加点される条件を分け、価格評価の方法まで把握しておく必要があります。
配点の高い項目で十分な評価を得にくい場合は、参加資格を満たしていても競争上不利になる可能性があります。
評価基準へ自社の実績や技術者情報を当てはめると、参加前におおよその評価を見積もれます。過去の同種工事、工事成績、配置予定技術者の経験、保有資格など、客観的に確認できる項目から見ていくとよいでしょう。
技術提案についても、要求されるテーマに対して具体的な提案を用意できるかを確認します。
ここは案件選定の実務的な考え方ですが、想定される評価と資料作成の負担を事前に比べると、参加案件を絞る材料になります。
過去の総合評価結果が公開されていれば、価格と技術評価の両方を確認できます。国土交通省のガイドラインでは、落札者決定後に各事業者の入札価格、技術評価点、評価値などを公表する考え方が示されています。
実際に九州地方整備局では、工事、建設コンサルタント業務等、物品・役務について年度別の総合評価落札方式の結果を公開しています。これは国土交通省における運用例です。
類似案件の結果を見る際は、落札価格だけでなく、技術評価でどの程度差が付いているかも確認すると参考になります。
総合評価案件では、技術資料を準備するための社内体制も参加判断に関わります。案件によっては、営業担当だけでなく、技術者や現場部門、積算担当などとの連携が必要です。
技術提案や実績資料の作成に時間をかけても、配点上の強みが少なければ、参加コストに見合わないケースも考えられます。反対に、自社や技術者の実績が評価基準と合っていれば、価格以外の部分で競争力を持てる可能性があります。
参加前には、落札者決定基準と自社の想定評価を照らし合わせ、必要な資料を期限までに準備できる体制があるかまで確認してください。
総合評価落札方式は、入札価格だけでなく、企業や技術者の実績、施工計画、技術提案なども評価して落札者を決める方式です。最低価格落札方式とは異なり、最も低い価格を提示した事業者が必ず落札するわけではありません。
企業が参加を検討する際は、入札説明書や落札者決定基準を確認し、評価項目や配点、価格評価の方法を把握してください。自社や配置予定技術者の実績を評価基準に当てはめると、参加前に強みや不足している条件を見つけやすくなります。
過去の落札結果が公開されている場合は、落札価格だけでなく技術評価点や評価値も参考になります。総合評価案件では、参加資格を満たすかだけで判断せず、想定される評価と技術資料の準備負担まで含めて参加する案件を選びましょう。
髙橋京太郎
LobbyAI株式会社 代表取締役CEO
日本大学法学部卒業、法政大学大学院修了。衆議院議員秘書、さいたま市議会政務活動員として、国政・地方行政の現場で政策形成や渉外業務に従事。大学在学中から国政政党の学生組織の設立・運営に携わり、超党派団体での活動を通じて若年層の政治意識向上にも取り組む。一方で、WEBサービスの開発・運営にも携わり、マッチングアプリのコンテンツディレクターなどを務めるなど、テクノロジー分野での実務経験も積む。アジアを代表する30歳未満の先進的な起業家・リーダーを選出する「Forbes 30 Under 30 Asia 2026」に選出。東京都・TIBのスターティングメンバーにも参画。
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