サウンディング型市場調査とは?公募との違いや企業が確認するポイント

自治体連携

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2026/10/27

サウンディング型市場調査とは、自治体などが事業化を進める前に民間事業者と対話し、市場性や参入意向、事業条件への意見などを把握する手法です。

公募や入札とは異なり、対話の段階で契約相手を選ぶものではありません。

この記事では、サウンディング型市場調査の目的や公募との違い、実施の流れ、企業が参加を判断する際のポイントや参加後に追いたい情報まで解説します。

サウンディング型市場調査とは

サウンディング型市場調査は、行政だけで事業内容を固める前に、民間事業者の知見や参入意向を把握するために行われます。

ここでは、実施する目的や対象となる事業、官民対話の主な形を紹介します。

事業化前に民間企業の意見を聞く市場調査

サウンディング型市場調査は、事業発案や事業化を検討する段階で、民間事業者との直接対話から事業内容や事業スキームへの意見を集める手法です。市場性や参入意向、採算性などを把握し、その後の事業設計に生かします。

構想段階の比較的早い時期だけでなく、基本計画の策定、事業手法、公募要項に定める条件などを検討する段階でも用いられます。

民間企業にとっては、公募前に事業の方向性を知り、自社が参入できる事業かを考える機会にもなるでしょう。

自治体がサウンディングを行う目的

自治体がサウンディングを行う理由の一つは、行政側の想定だけでは分からない市場の反応を事業条件へ反映するためです。

民間事業者から意見を聞くことで、想定する事業内容への参入意向や採算性、事業成立に必要な条件などを把握できます。

官民対話では、民間事業者の創意工夫、市場性、事業条件への意見、参入意向、収益性なども検討材料になります。こうした情報をもとに、業務範囲や事業期間、官民の役割分担などを詰めていきます。

自治体にとっては、民間企業が参入できる現実的な条件を探るための市場調査と位置付けられるでしょう。

PPP・PFI以外の事業でも使われる

サウンディングはPPP・PFIの検討で利用されますが、対象はPPP・PFIだけに限られません。国土交通省の手引きは対象事業の分野を限定せず、一般的なサウンディングの手順を示しています。

たとえば、公有地や廃校などの利活用、公共施設の運営方法、指定管理者制度や包括的民間委託の導入、公共空間を使った新しいサービスなどが検討対象になり得ます。

企業側では、「PPP案件ではないから関係がない」と判断するのではなく、自社の事業領域に近い公共施設や行政サービスの募集にも目を向ける必要があります。

案件によって対話の方法が異なる

官民対話の進め方は一つではありません。

参加者を募って公開の場で意見を聞く方法、公募した事業者と個別・非公開で話す方法、特定の事業者へ個別に意見を求める方法などがあります。

対話の形式が違えば、企業が提出する資料や他社への情報開示の範囲も変わります。実際の参加では、実施要領に記載された募集方法、対話形式、提出物、結果公表の扱いを基準に準備を進めてください。

試行利用で市場性を探る手法もある

対話だけでなく、公共施設や公共空間を一定期間使って事業を試す「トライアル・サウンディング」が実施されるケースもみられます。民間事業者が実際にサービスやイベントなどを展開し、利用状況や需要、運営上の課題を実地で探る方法です。

机上の意見交換だけでは分からない利用者の反応や運営条件を把握できるため、その後の事業化を考える材料になります。

ただし、施設の使用条件、実施期間、費用負担などは案件ごとに設定されます。通常のサウンディングと同じ条件で実施されるものではありません。

サウンディングと公募・入札の違い

サウンディングは、公募や入札とは目的も実施される段階も異なります。

ここでは、事業者選定との違いや、その後の公募との関係を解説します。

サウンディングは事業者を選ぶ手続きではない

サウンディングは、自治体が民間事業者の意見や参入意向を把握するための市場調査であり、契約相手を決める手続きではありません。事業発案や事業化を検討する段階で、民間側から情報を得るために行われます。

公募や入札では、募集要項や仕様書、参加資格などを示したうえで、提案内容や価格などをもとに事業者を選びます。サウンディングはその前段階で行われることが多く、対話へ参加しただけで契約相手になるわけではない点を押さえておきましょう。

主な違いは、次のとおりです。

項目

サウンディング

公募・入札

主な目的

市場性や参入意向などの把握

事業者の選定

主な時期

事業化・公募前

事業条件決定後

民間企業の役割

意見・提案・参入条件を伝える

提案・入札を行う

結果

事業条件などの検討材料

契約相手などを決定

企業側では、サウンディングと本公募を同じ手続きとして扱わず、それぞれで求められる資料や判断基準を分けて考えてください。

参加しても将来の受注は保証されない

サウンディングへの参加実績だけで、その後の公募や入札で受注できるわけではありません。事業化された際には、改めて募集要項や参加資格、審査基準などに沿って応募する必要があります。

国土交通省は、サウンディングの実施にあたり、公平性・透明性の確保や民間事業者から得たアイデアの取扱いへ配慮する必要があるとしています。そのため、参加企業だけが将来の選定で当然に優遇される仕組みではありません。

案件によって参加インセンティブが設定されることはありますが、適用条件や公募時の扱いは個別に定められます。参加前に実施要領を読み、後の公募との関係を把握しておきましょう。

民間の意見が公募条件の検討材料になる

サウンディングで得た意見は、その後の事業条件を考える材料になります。内閣府のPPP/PFI関連資料でも、民間事業者から事業条件や参入可能性について意見を聞き、公募条件へ反映する考え方が示されています。

対象となるのは、業務範囲や事業期間、官民のリスク分担、事業スキーム、参入条件などです。たとえば、「この事業期間では初期投資の回収が難しい」「この業務範囲では単独での参入が難しい」といった意見は、自治体が条件を見直す際の材料になるでしょう。

ただし、特定企業の強みに合わせて公募条件を設計することが目的ではありません。複数の意見や市場性を踏まえ、事業として成立する条件を探るための情報として扱われます。

サウンディング型市場調査の流れ

サウンディングでは、実施要領の公表から参加申込み、対話、結果公表へと進みます。

ここでは、民間企業が参加する際の一般的な流れを紹介します。

実施要領の公表

自治体はサウンディングを始める際、対象事業や実施方法を記載した実施要領を公表します。企業にとっては、参加するかどうかを判断するうえで最初に読む資料です。

実施要領には、調査の目的、対象となる施設や事業、対話項目、参加条件、申込期限、対話日程、提出資料、結果公表の考え方などが記載されます。

締切だけを見るのではなく、自治体がどの論点について民間の意見を求めているのかまで読み取ってください。

参加申込みと事前資料の提出

参加を希望する企業は、自治体が指定する方法で申込みを行います。案件によっては、エントリーシートに加えて、対話シートや提案概要、会社概要などの提出が必要です。

現地見学会や事前説明会が設定されていれば、対象施設の状態や周辺環境を把握する機会になります。必要書類や提出期限は案件によって変わるため、実施要領に沿って準備を進めましょう。

自治体との対話

対話では、自治体が設定したテーマをもとに、民間事業者が事業スキームや採算性、運営方法などについて意見を伝えます。

自治体側から質問を受けるだけでなく、企業側が参入上の課題や事業成立に必要な条件を示す場でもあります。

対話形式は、個別面談、公開形式、オンラインなどさまざまです。公開型か個別非公開型かによって情報の扱いも変わるため、実施形式に合わせて提出資料や説明内容を整えてください。

結果公表と事業化の検討

対話後は、自治体が意見を取りまとめ、結果概要を公表する流れが一般的です。公表時には、民間事業者の知的財産や独自ノウハウへの配慮も求められます。

その後は、対話内容を踏まえて事業条件を見直したり、追加調査や再度の官民対話へ進んだりします。

事業化の見通しが立てば公募準備へ移りますが、内容の再検討や事業化の見送りとなるケースも考えられるでしょう。

一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 実施要領の公表

  2. 参加申込み

  3. 事前資料の提出

  4. 官民対話

  5. 結果公表

  6. 事業化・公募条件の検討

企業がサウンディングへ参加するメリットと注意点

サウンディングは、公募前の段階で自治体の課題や事業条件に触れられる機会です。ただし、参加には資料作成の負担や情報管理上の注意点もあります。

ここでは、企業側から見た主なメリットと注意点を紹介します。

案件化前の情報を把握できる

サウンディングへ参加すると、自治体がどのような課題を抱え、どの事業手法を検討しているのかを早い段階で知ることができます。

公募開始後に公開される仕様書だけでは読み取りにくい、事業化の背景や検討中の論点を把握できる点も特徴です。

ただし、未公表の情報を得るための場ではありません。実施要領や自治体から示された資料、対話内容をもとに、自社の事業領域と合う案件か見極める材料として捉えましょう。

参入条件について意見を伝えられる

民間企業は、事業として成立するために必要な条件を自治体へ伝えられます。

たとえば、想定されている事業期間では投資回収が難しい、業務範囲が広く単独参入では対応できないといった実務上の課題です。

こうした意見は、自治体が業務範囲や事業期間、リスク分担などを検討する材料になります。自社だけに有利な条件を求めるのではなく、民間事業者が参入できる現実的な条件として伝えることが前提です。

案件によって参加インセンティブが設けられる

サウンディングでは、民間事業者の参加を促すためのインセンティブが設定されることがあります。

事業を検討する早い段階で情報を得られることや、対話で伝えた意見が事業条件の検討材料になることも、企業側から見た参加メリットです。

さらに、一部の制度では、公募時の加点や優秀提案者との随意契約といった措置もインセンティブの例として示されています。ただし、こうした仕組みがすべての案件に適用されるわけではありません。

参加後の公募との関係や適用条件は、実施要領などを読んで把握しておきましょう。

資料作成や社内調整にも負担がかかる

サウンディングへの参加には、一定の時間と費用がかかります。

事業内容の検討に加えて、収支試算、提案資料の作成、社内決裁、現地見学、対話への参加などが必要になるためです。

案件によっては、複数部門との連携や外部パートナーとの調整が必要になることもあります。将来の事業規模や自社との適合度を見ながら、準備にかかる工数と参加する価値を比べて判断しましょう。

公平性・透明性への配慮が欠かせない

サウンディングは、公募前に自治体と民間事業者が直接意見を交わすため、将来の事業者選定に影響しないよう公平性・透明性への配慮が求められます。

特定の企業だけが有利になる条件を設けたり、競合企業の参入を不当に妨げたりすることが目的ではありません。

企業側も、自社だけに適用できる仕様を求めるのではなく、採算性や業務範囲、リスク分担など、事業を成立させるうえで必要な条件として意見を伝えることが前提です。

公募へ移行した後は、正式に示された参加資格や審査基準に沿って対応してください。

独自ノウハウの公表範囲に注意する

サウンディングでは、企業独自の技術や事業スキーム、収支の考え方などを提示することがあります。対話結果が後日公表される案件では、どの情報が公開対象になるのかを事前に把握しておく必要があります。

知的財産や独自ノウハウについては、結果公表の際に提案企業へ内容を照会するなど、情報保護に配慮した運用が求められています。

企業秘密を含む資料を提出する際は、公表方法や情報の取扱いを読み、非公開を希望する内容があれば自治体へ相談してください。

サウンディングへの参加を判断するポイント

サウンディングへの参加を決める際は、募集条件だけでなく、自治体の課題や事業採算まで見る必要があります。

ここでは、自社に合う案件か見極めるために押さえたい内容を紹介します。

実施要領から参加条件と対話項目を読み取る

最初に見るべき資料は、自治体が公表する実施要領です。調査目的や対象事業、対話項目、参加条件、申込期限、提出資料などから、自治体がどのような情報を求めているのかを読み取れます。

結果公表の方法や独自ノウハウの扱い、参加インセンティブについて記載されていれば、その内容も押さえてください。提出期限だけを見るのではなく、対話で求められる論点まで把握すると、必要な社内準備も具体化できます。

自治体の計画や過去の調査結果を調べる

実施要領だけでは、なぜその事業を検討しているのか十分に分からないことがあります。総合計画、個別計画、公共施設等総合管理計画、予算・決算資料なども見ると、自治体が抱える課題や事業の位置付けを読み取りやすくなります。

同じ施設や類似テーマで過去にサウンディングを実施していれば、結果概要も参考になるでしょう。どのような意見が出され、その後に事業条件がどう変わったのかを見ることで、今回の検討段階をつかみやすくなります。

事業範囲と自治体の課題を把握する

参加判断では、自治体が何を民間に求めているのかを具体的に捉える必要があります。施設整備だけを求めているのか、運営や維持管理まで含むのかによって、必要な体制やパートナー企業は変わるためです。

あわせて、施設の老朽化、利用者減少、運営費の負担、地域活性化など、自治体が解決したい課題にも目を向けましょう。自社の商品やサービスを当てはめる前に、事業の目的と自社が担える範囲を照らし合わせることがポイントです。

費用負担・収益性・リスク分担を見極める

自社が継続して事業を担えるかどうかは、費用と収益の条件に大きく左右されます。初期投資や維持管理費を誰が負担するのか、利用料金や自主事業による収入を見込めるのかなどを整理しましょう。

長期事業では、修繕、需要変動、物価上昇、災害対応といったリスクの分担も判断材料です。事業期間や自治体側の負担範囲と合わせて、自社だけで対応できるか、共同事業者が必要かまで見極めてください。

今後の事業化スケジュールを押さえる

サウンディング後にどのような手続きが予定されているかも、参加判断に関わります。方針決定、予算化、公募、事業者選定、事業開始までの想定時期が分かれば、社内の準備期間や人員配置を考えやすくなるでしょう。

ただし、サウンディングは事業化前の調査なので、日程が確定していない段階も珍しくありません。確定している予定と検討中の情報を分けながら、自社がいつまでに何を準備する必要があるのかを押さえておきましょう。

サウンディング後に追いたい情報

サウンディングが終わっても、すぐに事業化や公募へ進むとは限りません。

ここでは、その後の動きを把握するために追いたい情報を紹介します。

調査結果と自治体の対応

まず見たいのは、自治体が公表するサウンディング結果です。結果概要には、民間事業者から出た主な意見や、事業化に向けた課題、自治体側の今後の対応などが記載されることがあります。

対話前に示されていた条件と比べて、事業範囲や実施方法に変化が出ていないかも見ておきましょう。再度のサウンディングや追加調査へ進んでいれば、まだ条件を詰めている段階だと読み取れます。

計画・予算・議会の動き

サウンディング後の事業化を追うには、自治体の計画や予算、議会資料も参考になります。基本計画や個別計画の改定、当初予算・補正予算への計上、議会答弁などに事業の進捗が表れるためです。

たとえば、関連する設計費や調査費が予算化されれば、次の検討段階へ進んだと考える材料になります。ただし、予算への記載だけで公募時期まで断定せず、事業方針や担当部局の資料と合わせて読み取ってください。

その後の公募・入札情報

事業化が具体化すると、公募型プロポーザル、一般競争入札、指定管理者募集、PPP/PFIの事業者募集などへ進むことがあります。サウンディング時に示された条件から、事業範囲や参加資格、評価方法が変わることも想定しておきましょう。

公募が始まった後は、正式な募集要項、要求水準書、仕様書、評価基準が判断の基準です。サウンディング時の資料だけに頼らず、最新の公募資料を読み直して参加可否を決めてください。

まとめ

サウンディング型市場調査は、自治体などが事業化前に民間事業者と対話し、市場性や参入意向、事業条件への意見を把握する手法です。公募や入札とは異なり、対話の段階で契約相手を選ぶものではありません。

企業が参加を考える際は、実施要領だけでなく、自治体の計画や過去の調査結果にも目を向けましょう。事業範囲、採算性、リスク分担、独自ノウハウの扱いまで見たうえで、自社が参加する価値のある案件か判断することがポイントです。

参加後は、調査結果、予算、議会、公募情報まで継続して追う必要があります。事業化の進み方や正式な公募条件を見ながら、自社の体制や参入時期を見極めてください。

髙橋京太郎

LobbyAI株式会社 代表取締役CEO

日本大学法学部卒業、法政大学大学院修了。衆議院議員秘書、さいたま市議会政務活動員として、国政・地方行政の現場で政策形成や渉外業務に従事。大学在学中から国政政党の学生組織の設立・運営に携わり、超党派団体での活動を通じて若年層の政治意識向上にも取り組む。一方で、WEBサービスの開発・運営にも携わり、マッチングアプリのコンテンツディレクターなどを務めるなど、テクノロジー分野での実務経験も積む。アジアを代表する30歳未満の先進的な起業家・リーダーを選出する「Forbes 30 Under 30 Asia 2026」に選出。東京都・TIBのスターティングメンバーにも参画。

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